言語政策
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研究論文
サハリン州の大学における日本語教育史
─ 開設期前後に受講した学生のインタビューをもとに─
竹口 智之
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2025 年 21 巻 1 号 p. 21_21-21_42

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抄録

本研究は1980年代後半に開始されたロシアのサハリン州における日本語教育史を明らかにしたものである。ユジノサハリンスク市Y大学で日本語を学んでいた調査協力者学習者5名を対象にインタビューし、彼らの言語学習とアイデンティティの関連を探っている。複線径路等至性アプローチによって分析した結果、等至点である〔日本語による確立した自己〕に到達するまでに4つの時期区分があることがわかった。この4つの区分は、大学入学前、入学以降の下級生の時期、上級生の時期と卒業前後の数年間、その後等至点までの時期である。本研究の分析から、サハリン州における日本語教育は、年代ごとの出来事だけではなく当人の人生の連続性を考察する必要性があると思われる。

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