沙漠研究
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資料・報告
2013年12月16日の伊豆諸島での薄い狭い雲域からの液体炭酸人工降雨の特徴
真木 太一守田 治鈴木 義則脇水 健次西山 浩司
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2016 年 26 巻 1 号 p. 17-24

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抄録

伊豆諸島の三宅島・御蔵島・新島付近で,2013年12月15~16日に液体炭酸散布による人工降雨実験を実施した.その内の16日に新島東方海上で航空機から液体炭酸を対流雲に散布し,その風下の散布高度上下間で行った気象観測の解析結果は次のとおりである.

厚さ約600 mの非常に薄い雲からでも散布15~20分後に航空機の窓に雨粒または雪・霰粒が衝突する状況が確認でき,また37分後までに航空機の窓から雨脚が目視・写真で確認できた.雲の幅は狭く薄い雲であったが,液体炭酸散布直後より雲が発達し,NNW-SSE方向の南北につながる雲の上に部分的に顕著な雲の発達が衛星画像でも確認できた.その発達した雲から降雨となって落下したために部分的に衰退した雲の状況が衛星画像で確認できた.さらには,人工衛星テラ・アクアの衛星画像からNNW-SSE方向の南北につながる雲の上に発生したNNE-SSW方向の3列の平行な雲の発達およびその後の消滅の状況がタイミングよく確認できた.今回の液体炭酸散布による人工降雨実験結果に加えて,これまでの実験結果を比較・総合すると,雲内下層付近の氷点下の対流雲に航空機搭載サイホン式ガスボンベから液体炭酸を約5 g/sで10分間以上,直接散布する方法が最適であることが分かった.また,人工降雨の干ばつ時での利用や乾燥地への応用の可能性について記述した.

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© 2016 日本沙漠学会
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