2014 年 4 巻 1 号 p. 23-42
本論⽂は、⽇本社会において英語がブランド化した現象を、クリティカル・ディスコース・アナリシス(CDA)を応⽤することで考察する。CDA は、言語理論を⽤いて社会現象や問題を明らかにする研究アプローチであり、表層的な言語分析を超えた学際的な研究が可能となる。はじめに、ブランド理論を適⽤し、英語がブランド化した現象を分析する。⽇本には多様な英語観が存在するが、その1 つは「商品としての英語」である。本論⽂では、商品を超えた上位概念として英語が「ブランド」になった現象を明らかにする。次に、この英語観が実際にどのように機能しているかを言語景観論的視点から分析する。本研究のデータは、商業施設のロゴと看板、地図などで使⽤されている⽂字である。施設を表象するロゴやシンボルマークがどのような⽂字か、看板や案内図などはどのように表記されているかを分析することで、ことばとイメージ作りとの関係、またブランドとしての英語との関係を考察する。最後に、ブランドとしての英語が内包しうるイデオロギーが、⽇本社会と⽇本⼈英語学習者に及ぼしうる影響についても論じる。