この論文は、メタ認知的な自己調整学習に対する意識づけの指導 (Vandergrift, 2004) が、日本の大学生の英語リスニング力向上にもたらす効果について検証した研究結果の報告である。教育心理学の研究では、メタ認知的な自己調整学習は学習の成功をもたらす重要な要因であること (Pintrich, 2004) が明らかになっている。また第二言語習得研究でもメタ認知的な自己調整学習が英語力向上に効果がある(Goh, 2000)としているが、EFL の環境でリスニング力向上の効果について検証した研究は限られている。この研究では、Global Studies を専攻する大学生を対象に、2013 年の 4 月から 2014 年の 1 月までの期間にメタ認知的な自己調整学習に対する意識づけの指導を受けた学生が、そのような指導を受けなかった学生と比較して、リスニング力向上にどのような違いがあったかに関して TOEFL を用いて検証を行った。得られたデータを統計的に処理した後、さらに面接によるデータを用いて解釈を行った。その結果、英語リスニング向上の点で、メタ認知的な自己調整学習に対する意識づけの指導は効果があることが明らかになった。
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