医療情報学
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外来患者に対する服薬指導情報の適正な伝達のためのシステム化
鎌田 志乃ぶ折井 孝男佐藤 均伊賀 立二
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2000 年 20 巻 5 号 p. 419-424

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抄録

 我々は従来,外来患者に対する情報提供(「お薬相談」)の際,薬剤師による情報提供の質を保つため,薬剤師が提供する最低限の情報をチェックし,患者から得られた情報を記録するための「お薬相談記録シート」を作成し,利用してきた.

 本研究では,この「お薬相談記録シート」の情報をデータベース化し,一元管理するとともに,相談記録の迅速な検索,さらに,院内LAN環境における運用を考慮し,そのデータベース情報を薬剤師間において共有化できるシステムを構築した.

 構築したデータベースは,院内の端末で,WWWブラウザへアクセスし,パスワード入力を行うことにより閲覧・検索を可能とした.

 構築したシステムを使用して,1998年4月から9月までの期間における「お薬相談カウンタ」の利用状況を調査した.「お薬相談カウンタ」における服薬説明の件数は,延べ627件,そのうち能動的服薬指導件数は409件(65%),その他は受動的服薬指導を実施した患者であった.服薬説明を実施した患者の中で複数回利用した患者は14名であった.この患者の中で13名(93%)は,異なる薬剤師が服薬説明を行い,10名(71%)は同一薬剤についての服薬説明を受けていた.このようなことから,「お薬相談記録シート」の情報を検索・共有化するシステムの必要性が示唆された.以上より異なる薬剤師による服薬説明において,服薬説明の記録を院内のネットワーク上で管理し,服薬説明内容の共有化を図ることにより,患者に対する服薬説明時の整合性を保つことができ,医薬品適正使用のための情報提供システムとして活用することを可能とした.

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© 2000 一般社団法人 日本医療情報学会
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