2001 年 21 巻 3 号 p. 211-222
日本の病院情報システムは,オーダリングシステムから始まり,近年,急速に広まりつつある.1999年4月,厚生省より診療録の電子媒体による保存を認める通知が出され,新たな展開が期待されている.大阪大学医学部附属病院では,電子カルテデータベースを構築し,医師・看護職員の記録に加え,オーダおよび実施情報,検体検査結果や検査レポート,画像のヘッダ情報を集約して保存し,クライアントからは,患者情報をフローシートにより統合化して照会できる仕組みを持たせた.また,動的テンプレートにより構造化データとしてデータを登録し,データウェアハウスを構築して,データの二次利用に対応する計画である.基本的なオーダの導入に成功した病院は,次のステップとして,オーダの範囲を広げ,オーダの履歴や実施情報,検体検査結果や検査レポートを電子媒体で保存することが考えられる.医師や看護職員の記録の電子化も可能なものから挑戦し,病院運用の合理化,診療の支援,病院,診療の評価などに寄与すべく病院情報システムを発展させるべきと考える.