2002 年 22 巻 1 号 p. 43-50
ネットワークを介在した情報システムにおいて,利用要求者が正規利用者か否かを確認するために,一般的にパスワード方式が利用者認証方式として利用されているが,パスワード方式はパスワードの管理面などの理由から信頼性が高いとはいえない.また,従来の他の認証方式も種々の問題があり,替わりとはなっていない.そこで我々は,ネットワークを介在したシステムでの利用者認証方式として,利用者に対する「質問と解答」による認証方式を考案し,本方式を運用する場合の信頼性および利便性に関しての検討を行った.本方式は,正規利用者のみが,自分の記憶を振り返ることにより正解できる質問により認証を行うものである.導入時の付属装置および,利用時の特別な操作,設定などが不要であり,認証方式利用時の信頼性および利便性はパスワード方式より優れた結果となった.また,利用者の解答時間を含めた認証時間についても,適用用途に制限があるが実用的時間内にて利用可能となり,実用性が確認できた.