2002 年 22 巻 1 号 p. 79-86
在宅健康管理システムは,在宅介護・保健支援分野におけるIT利用の遠隔システムであり,全国的な普及度も高い.問題は費用負担に相応するだけの便益をあげているか否かである.これをテーマに,われわれは岩手県釜石市の医療法人楽山会せいてつ記念病院の運営する在宅健康管理システムのユーザーに対するアンケート調査を行った.これによって得たWTPデータにより,同システムの総便益を推定するとともに,システム導入,運営の総費用と比較し,運用年数6~11年で便益が費用を上まわることを明らかにした.さらに,この便益がシステムの持つどのようなメリットにどの程度由来するかを回帰分析し,運用総費用のうちどれだけを公的負担ないし保険負担とするのが妥当であるかを明らかにした.