2002 年 22 巻 1 号 p. 87-94
インターネットを活用した医療系アプリケーションサービスプロバイダ(Application Service Provider: ASP)とデータセンター(Internet Data Center: IDC)は中小病院や診療所の情報化を推進し,施設間での医療情報の共有・交換を容易にするなど,様々なメリットが期待できる.しかし医療系ASP/IDCの実現のためには,保管すべき医療情報の総量を知る必要がある.また効率的なIDCの配置を検討するうえで,患者の移動状況を把握する必要がある.我々はこれらの問題に関して,厚生労働省の統計データを用いて分析を行った.その結果,日本全体で1年間に発生する医療情報は3ペタバイト程度であるという結果を得た.これは高々1000本のラックに搭載したストレージシステムで収容可能な量であるため,情報量の観点からは医療系ASP/IDCは十分実現可能であると判断できる.また患者の大半は居住する都道府県の医療施設で受診し,県外の医療施設で受診するものは高々数パーセントに過ぎないことが分かった.したがって各都道府県医師会がIDCを構築することが,運用上有利であると考えられる.