2003 年 23 巻 4 号 p. 313-323
在宅健康管理システムは,運営費用は自治体が負担し,利用する住民に対して無料で提供していることが多い.システムを導入している地域は全国76の地域で,7,133台が導入されている.しかし,地方自治体の厳しい財政状況では,システムの利用に対して住民に費用負担を求めなければならない地域が増えることが予測される.このシステムの利用を無料で提供している地域と,有料で提供している地域とを経済的に比較することで,在宅健康管理システムが地域社会にとって費用に見合うシステムであるのか,また,利用料の違いによってシステムの金銭的評価に影響がでるのかどうかを考察した.推計結果より,システムの利用料が有料地域と無料地域では,金銭的評価の差は微小なものであり,2,500円程度有料にしたとしてもシステムの評価は変化しないということを明らかにした.