医療情報学
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大学病院レベルにおける電子カルテシステムの効率的な開発のあり方 ―名古屋市立大学病院を事例とした定量的な解析―
馮 霞長谷川 泰洋宮治 眞
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2005 年 25 巻 4 号 p. 221-229

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抄録

 電子カルテシステムの開発,構築には相当の人的,時間的資源を要する.とくに大学病院レベルにおける完全なペーパーレスを目指した全面的な電子カルテシステムの開発過程に関する効率性,効果性の検討はあまり見当たらない.2004年1月より稼動した名古屋市立大学病院の開発過程を事例として,1年3カ月に亘る経緯が詳述されている議事録の中から,詳細検討項目数,検討時間,出席人数,会議回数などの作業量を指標として,クラスター分析などによる統計学的手法を用いて定量的に分析した.その結果,電子カルテ作業部会,外来・病棟作業部会,看護作業部会など10の作業部会を診療に直接的に関わるグループ,診療に間接的に関わるグループ,専門性の高い技術・LANグループの3つのグループに大別して検討することの有用性が示された.各作業部会における重複検討項目を整理することで,総検討項目数(1,464項目)の18.0%,総検討時間(1219.5時間)の22.5%,総出席人数(5,424人)の25.3%,総会議回数(502回)の23.5%を削減できる可能性が示唆された.電子カルテシステム開発のこのような定量的な解析は,システム開発のあり方として効率性,効果性の面からも意義ある結果と思われた.

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© 2005 一般社団法人 日本医療情報学会
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