2005 年 25 巻 4 号 p. 211-220
本研究の目的は,在院日数短縮のインセンティブが働くDPC導入に伴う業務煩忙が,特定機能病院(以下A病院)に勤務する看護職員の職務満足度にどのような影響を与えたかを明らかにすることである.A病院の看護職員を対象に自記式質問紙調査を行い留め置き法により回収した.結果の解析は一元配置分散分析,スチューデントのt検定を用いた.DPCの影響を全く受けていない看護職員に比べ,DPCの影響を受けた看護職員の職務満足度が有意に低かった.職務満足度構成要素で比較しても「給料」,「医師-看護師間の関係」において,同様の結果を得た.DPC導入による在院日数短縮というインセンティブが働き,業務の煩忙をまねいていることが看護職員の満足度に負の影響を及ぼしていることが判明した.これらを適切に把握することが職場環境の改善につながると示唆された.