抄録
平成18年度の診療報酬改定で,急性期入院医療の実態に即した新たな看護師配置基準,いわゆる7対1看護が導入された.本研究は,自治体病院をケースとしてこの7対1看護導入に伴う収益と費用を試算することで,7対1看護導入前後の病院の収支の推計を実施した.さらに,7対1看護導入に伴う看護師の人員配置の増加による病院経営に与える影響についても考察を行った.
本研究により,自治体病院では,7対1看護の導入によって収益を圧迫する可能性が高いことが示唆された.7対1看護に必要な人員を新人看護師で補充した場合でも初年度の収支はプラスとなるが,2年目以降は人件費が収益を上回ることが示唆された.
自治体病院の多くが,地域基幹病院としての側面と高度先進医療を提供する病院としての側面を有することから,7対1看護の導入にあたっては,病院機能を再評価し,病院機能に即した適切な経営とより高い収益が求められよう.