医療情報学
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原著-研究論文
血中濃度曲線下面積のバイアスのない推定方法と信頼区間の計算法の開発
鶴田 陽和福本 真理子L Bax河野 彰夫森下 剛久
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2010 年 30 巻 4 号 p. 203-213

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抄録
 造血幹細胞移植の前処置薬であるブスルファン(BU)は,投与量の過不足が治療結果に直結するため患者ごとに投与量を調節する必要があるが,患者間の体内動態の差が大きいため体重や体表面積などに基づいて投与量を算出することができない.よって,BUの血中濃度変化から個々の患者の体内動態を求める必要があるが,そのために頻回の採血を行うことは困難である.そこで,初回投与時の数回の採血データから個々の患者の血中濃度曲線下面積(AUC)など,治療方針の指標となる量を推定する方法(LSM)がいくつか提案されているが,その評価のために十分な症例数を得ることは容易ではない.
 そこでこの研究では,シミュレーションにより生成した模擬症例によりLSMを系統的に検証する方法を提案し,既存のLSMの問題点と適用可能な条件を明らかにする.次に,日本人患者で考え得る血中濃度変化をあらかじめ生成しておき,その中から測定値と最も合致するものを探索することによりAUCの推定を行う新しい推定方法を提案し,既存のLSMよりはるかに正確な推定ができることを示す.さらに,血中濃度の患者内誤差の経験分布関数に基づいて「LSMを用いて求めたAUC推定値」の分布を推定する方法と,その結果に基づいてブートストラップ信頼区間を構築する方法を提案する.
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© 2010 一般社団法人 日本医療情報学会
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