抄録
【はじめに】横浜市では,消防職員のコンピュータ入力による119番通報内容の緊急度選別が2008年10月に開始された.【目的】119番通報された傷病者の生命の危険性について,アルゴリズムの判定精度を検討する.【方法】緊急度選別の結果と初診医師の判断を比較検討する.【結果】27カ月260,854件の選別結果は,カテゴリーA+:17,004件,A:74,535件,B:100,335件,C+:49,529件,C:19,451件,初診医師判断は,死亡2,731件,重篤7,892件,重症14,547件,中等症86,327件,軽症149,357件で,アンダートリアージ率3.0%,オーバートリアージ率71.1%であった.アルゴリズム改訂で後半12カ月のアンダートリアージ率は1.8%上昇,オーバートリアージ率は11.8%低下した.【考察】アルゴリズムの改訂により選別精度が調整された.消防職員の聴取技術は向上しているが,通報後の状態悪化や把握困難なショック例など聴取の限界がみられた.【結論】アルゴリズムを洗練し聴取技術を改善することにより,119番通報内容の緊急度選別の精度が向上する可能性が示された.