医療情報学
Online ISSN : 2188-8469
Print ISSN : 0289-8055
ISSN-L : 0289-8055
原著-研究論文
119番通報内容の緊急度選別システム
鈴木 範行大重 賢治伊巻 尚平山本 俊郎木下 弘壽道下 一朗高橋 規夫麻生 秀章森脇 義弘川上 ちひろ濱上 知樹杉山 貢
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 31 巻 1 号 p. 3-12

詳細
抄録

 【はじめに】横浜市では,消防職員のコンピュータ入力による119番通報内容の緊急度選別が2008年10月に開始された.【目的】119番通報された傷病者の生命の危険性について,アルゴリズムの判定精度を検討する.【方法】緊急度選別の結果と初診医師の判断を比較検討する.【結果】27カ月260,854件の選別結果は,カテゴリーA+:17,004件,A:74,535件,B:100,335件,C+:49,529件,C:19,451件,初診医師判断は,死亡2,731件,重篤7,892件,重症14,547件,中等症86,327件,軽症149,357件で,アンダートリアージ率3.0%,オーバートリアージ率71.1%であった.アルゴリズム改訂で後半12カ月のアンダートリアージ率は1.8%上昇,オーバートリアージ率は11.8%低下した.【考察】アルゴリズムの改訂により選別精度が調整された.消防職員の聴取技術は向上しているが,通報後の状態悪化や把握困難なショック例など聴取の限界がみられた.【結論】アルゴリズムを洗練し聴取技術を改善することにより,119番通報内容の緊急度選別の精度が向上する可能性が示された.

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本医療情報学会
次の記事
feedback
Top