抄録
本研究では演習期間中におけるグループ内の学習行動を定量的に分析し,学生の行動様式を明らかにすることを目的とした.演習終了時において19項目からなる自己評価による学習態度調査に自記したデータを解析した.解析には等質性分析を行い,各グループの構成メンバーの固有ベクトルを2次元表示し,各点を結び座標上の閉じた多角形として面積を測定した.多角形面積の大小により,グループを構成する個人の回答の分散の大小が分かる.多角形の面積はグループ内での意思統一の指標にもなる.その結果,グループを構成する個人の回答の分散を多角形表示することで演習期間中を通してグループ内の思考の変動が定量的に分かった.多角形の面積は意識の統一的な判断となるが,課題に対する個人間の選択性によっては大きな面積であっても意志決定の統一的な過程と解することもできる.演習を通して学生は何らかの知識を獲得するが,その知識獲得の際のグループ内での統一的な思考過程の一端が今回の分析から明らかとなった.演習を続ける過程で動機づけ,自己決定的な行動様式に対して定量的に考察でき,本結果より学生に対して適切な指導を行うことが可能となった.