抄録
成人生体肝移植医療では,肝炎などの多くの併存疾患や合併症を管理する必要があり,それらすべての診療内容を体系的に可視化することが困難であった.本研究は,診療の流れをプロセスで記述する患者状態適応型パスの記述形式を用いて,成人生体肝移植のレシピエント患者に対する診療内容を記述した.また,基本的な移植治療と並行して実施される診療業務の記述方法を新たに提示し,合併症を含めたレシピエント患者の診療内容を可視化した.
海外医療機関の成人生体肝移植症例データ80件を用いて,可視化した診療内容の流れを検証した結果,97.5%の症例における患者状態の推移と差異がなかった.また,合併症については,生じていた12病態に対し10病態に関する診療内容を記載していた.本研究によって,合併症を含めた複雑な診療内容に対し,臨床で提供される治療と整合する診療プロセスの活用が可能となり,有益なデータの収集と評価に寄与することが示唆された.