2020 年 39 巻 5 号 p. 227-229
[セッション抄録]
Society5.0で創出される新たな価値として,健康促進や最適治療の発展が期待されている.その中で,IoTを用いた生体情報のモニタリングやデータ活用に向けたシステム構築は,ヘルスケア充実のために必要な課題である.心電波形は,血圧や心拍数とともに循環器領域の日常診療で広く普遍的に実施されている検査の一つだが,日常生活におけるリアルタイム波形の可視化や心電情報の二次利用という点ではまだこれからである.
従来の医療用電極を用いた心電図計測は,長時間の連続使用に不向きである.しかし,導電性の繊維素材を電極としてシャツに配置したことで,着るだけで繰り返し心電情報の所得が可能となったシャツ型ウェアラブルが開発されている.TRIARTは,ミツフジの提供するウェアラブル製品と小型トランスミッターを用い,大量の生体情報の収集と蓄積,解析を可能とするサービスの提供を目指している.また,セキュアなP2Pブロックチェーン技術を応用した分散コンピューティングおよびストレージ環境を最適化し,バイタルデータの研究開発用プラットフォームを開発中である.
心電情報を有効活用していくためには,心電機器メーカーを問わない伝送規格や心電波形記述の標準化が今後ますます必要になってくるであろう.Precision medicineとして,予防・治療・ケアといった総合的なヘルスケアサポートを目指し,熊本大学,TRIART,およびミツフジが共同で取り組んでいる生体情報収集とデータ活用のためのシステム構築について,またデジタル化された心電情報の二次利用とその可能性について紹介したい.