2020 年 40 巻 1 号 p. 43-52
超高齢社会を迎えた現在,加齢や生活習慣病によって腎機能が低下している患者は多く,その腎機能に応じた適切な用量調節が求められている.しかし,薬剤師がすべての患者に対して腎機能をチェックし,適切な用法・用量の提言を行うことはマンパワー不足などの理由から難しい一面がある.そこで,薬剤師が効率的に処方の疑義を発見し,適切な用法・用量を提言できるようにするためのシステムを開発した.そして臨床上の有用性を検討するため,システム稼働に伴う患者実人数,処方実件数,疑義照会件数,疑義照会後の処方変更件数の4項目の変化を比較した.その結果すべての項目において改善が認められ,疑義照会件数は約5倍,疑義照会後の処方変更件数は約3倍の増加が認められた.今回の調査によりシステムの有用性を客観的に示し,処方変更を通じて薬剤の過量投与に起因する副作用の発現予防に貢献できたと考えられた.