日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2003年度 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G6-03
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G6:深成岩及び変成岩
オントンジャワ海台下における浅部リソスフェアマントルの起源
*石川 晃中村 栄三
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抄録
地球上最大の巨大火成作用区として知られるオントンジャワ海台の一部は、現在、ソロモン諸島、マライタ島において地上に露出している。その本体は白亜紀中期に誕生した後、34 Maにアルノアイトと呼ばれる揮発性成分に富んだ超塩基性火山岩により貫入を受けている。アルノアイトは多様なマントル捕獲岩を含有しており、これらの捕獲岩は海台下リソスフェアの破片として見なされるため、海台の形成に関する貴重な情報を保持していることが期待される。 採取されたマントル捕獲岩の大半は、比較的低温の平衡温度(750-1100℃)を示すスピネルかんらん岩あるいはざくろ石スピネルかんらん岩であり、浅部リソスフェアを構成していたと考えられる。その主要構成鉱物量比、構成鉱物の主要元素濃度、あるいはSIMS、ICP-MS、ID-TIMSにより得られた単斜輝石中の微量元素濃度は非常に多岐にわたっており、その多様性は(1)起源マントルの部分溶融度、(2)その後の交代作用の影響、(3)冷却に伴う再結晶作用の影響,などの違いが組み合わさることにより形成されたと理解される。本研究では浅部リソスフェアの起源を知る目的で、最も交代作用の影響が少ないと考えられるかんらん岩9試料に対して、鉱物分離した単斜輝石のSr、Nd同位体分析を行った。用いた単斜輝石はLaを除く軽希土類元素に関して系統的に枯渇するREEパターンを示している。得られた同位体比は始源マントルの推定値に比べて枯渇した特徴を持ち(87Sr/86Sr = 0.70237-0.70311;143Nd/144Nd = 0.51311-0.51331)、Nd同位体比に関しては147Sm/144Nd比との強い相関が認められた。この相関は部分融解程度を異にする一連の融け残りかんらん岩のNd同位体比が、時間効果によりその枯渇度に応じた進化を遂げたものとして理解できる。噴出時において各試料中の同位体平衡が成立していたこと、交代作用の影響は無視できるほど小さいことなどの仮定の下、全岩の主要構成鉱物量比および鉱物間の分配係数を用いたマスバランス計算により、各試料に含まれる単斜輝石の組成から全岩組成を見積もることができる。その再計算により求められた全岩アイソクロンは、年代値として168 ±38 Ma、Nd同位体初生値としてεNd = 7.1を与え、直上の地殻を構成するオントンジャワ海台玄武岩の噴出年代(121-125 Ma)やNd同位体初生値(εNd = 3.7-6.0)とは異なっていることが明らかとなった。従って、これらのかんらん岩の融解は海台の形成には関与しておらず、むしろ膨大な海台玄武岩の噴出によって覆い隠されてしまった海洋地殻(MORB)を抽出した、一連の融け残りかんらん岩であることが、その枯渇したNd同位体初生値から強く示唆される。また年代値に関しても、海台周囲に現存する海洋地殻は地磁気縞の解析により、およそ120から160 Maに形成されたことが示されており、本研究によって得られた年代値と調和的である。以上の考察から、オントンジャワ海台の異常に厚い地殻(平均33 km)は、現在のアイスランドのように中央海嶺下にマントルプルームが上昇することによって生成されたのではなく、むしろ現在のハワイのように、既存の海洋リソスフェアの底にマントルプルームが上昇・定置し、既存の海洋地殻を太らせる形で生成されたと考えられる。
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© 2003 日本鉱物科学会
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