日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2003年度 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G7-12
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G7:火山及び火山岩
西南日本,大江高山火山仙山火砕丘の構成物と内部構造
*鹿野 和彦宝田 晋治
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抄録
 大江高山火山は,西南日本日本海側の島根県温泉津東方に位置する後期鮮新世から前期更新世に噴出したデイサイト火山である.火山噴出物層序に基づけば,その活動は,冠川溶岩に始まり,柑子谷火道の形成,大家火山灰流堆積物,柿田火山灰流堆積物,川上火山岩塊火山灰流堆積物,矢滝火山灰流堆積物,三久須火山岩塊火山灰流堆積物の噴出と続き,仙山火砕丘と大江高山火山の主体をなすドーム群(大江高山溶岩)の噴出で終わる. 仙山火砕丘は,ドーム群の東側,後期鮮新世都野津層群石英砂層の上にあって,ドーム群の一部に貫かれている.その年代は古く,噴出物の黒雲母K-Ar年代と古地磁気層序から,1.8 Ma 前後と考えられる.開析が進み,火砕丘の上部構造はすでに失われているが,残存する基底部の直径は 1.5 kmを超える.  仙山火砕丘を構成する仙山火山噴出物は,径 70 cm 以下の角閃石黒雲母デイサイト火山岩塊-火山礫とそれらの細片とからなる.岩片に含まれている黒雲母は 4 mm 以下,角閃石は 1 mm 以下で,極く少量.石英と斜長石は 10 mm 以下.厚さ 0.1 - 0.3 m 以下で平行-低角斜交層理を示す粗粒凝灰岩に始まり,厚さ 1 - 15 m,淘汰不良で無層理の火山角礫岩ないし火山礫凝灰岩を経て,厚さ 0.1 - 0.8 m,平行-低角斜交層理を示す凝灰岩に終わるフローユニットが仙山山頂に向かって傾斜し幾重にも重なっている.傾斜は山腹で 30 - 40 度前後,山頂付近で 10 - 20 度と緩くなることから,山頂を中心に外側に開いた漏斗状の岩体をなしていると考えられる.各フローユニットは火山岩塊火山灰流堆積物の特徴を備えている.三久須の集落の北側の沢で斜交層理から判定できるその流向は西から東でフローユニットの走行にほぼ直交することから,その流れは,漏斗状の岩体の内側に向かっていると判断できる. 仙山火山噴出物は,菱鉄鉱,菱マンガン鉱,輝銀鉱,自然銀,方鉛鉱,黄鉄鉱,黄銅鉱などで鉱染されており,銀品位の高い鉱石 (福石) が14世紀から採掘されている.福石の分布は仙山火砕丘を構成する火山噴出物に限られることから,噴火直後に火道を上がってきた熱水から鉱石が沈殿したと考えられる.仙山北東の林道沿いでは火山噴出物直下の都野津層石英砂層を,二酸化マンガンや菱マンガン鉱などが膠結した鉱石が認められるが,これも仙山火砕丘における熱水活動に関連して形成されたものであろう.
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© 2003 日本鉱物科学会
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