日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2003年度 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G7-20
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G7:火山及び火山岩
東北本州弧に分布する新生代大規模陥没カルデラの下部構造
*吉田 武義中島 淳一長谷川 昭海野 徳仁長橋 良隆相澤 幸治佐藤 比呂志
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抄録
後期新生代、東北本州弧は、活動的な珪長質火山弧を成し、80を超えるカルデラが形成された(Sato, 1994; Yoshida, 2001)。火山活動は脊梁軸部に集中し、多数のピストンシリンダー型のカルデラが、中間的ないし弱い圧縮応力場のもとで形成された。これらの大規模陥没カルデラの形成は、上部地殻内浅部に、大規模なマグマ溜りが形成されたことを示唆している。地震波の低速度領域、高い地震活動域、そしてそれらの震源メカニズムは、例えば、脊梁域の鬼首カルデラ(Umino et al., 1998; Onodera et al., 1998)に見られるように、後期新生代大規模カルデラの分布と密接な関係を示している。 泉温の高温域もまた、後期新生代カルデラの密集域と良く対応している(Yoshida et al., 2000)。このことは、これらのカルデラの下部にマグマ溜りから固結して間も無い高温の深成岩体が分布することを示唆している。大規模なカルデラ構造が認められる鬼首地域の高精度地震波トモグラフィーを用いた、3次元P波およびS波速度、ならびに速度比構造は、深い深度にある部分溶融域からマグマが供給され、上部地殻の浅部では蒸気に飽和した部分が存在することを示している(Nakajima and Hasegawa, 2003)。また、長町利府構造線を横切る反射法による構造探査の結果(Ito et al., 2002)によれば、後期中新世に形成された白沢カルデラの直下、2∼5kmの深さにカルデラ形成に直接関与したと推定される深成岩体の存在が確認されている(Sato et al., 2002)。 仙台周辺域において、新たに得られた高精度地震波トモグラフィー(Nakajima et al., 2003)ならびにCMP反射断面(Sato et al., 2002)について、今回新たに、地質学的検討を行ない、特に地震波速度異常の分布パターンについて検討をおこなった。その結果、大規模カルデラの直下、3∼8km深度に位置するP波およびS波の低速度域は、高温のおそらくまだ流体をその一部にトラップしているような固結した深成岩体(Yoshida, 2001; Sato et al., 2002)であると解釈される。高精度トモグラフィーにより、カルデラ形成に関与した深成岩体が検出できるのみならず、下部地殻15km以深には、比較的P波速度が速く、しかも高いP/S速度比を示す部分があることが分かった。そのような場所は、中新世に苦鉄質火山岩が活動している地域に一致しており、おそらく、ネットワーク化したマグマ供給系が固結したものの、今だに流体をトラップしているような構造が推定される。 このように最近の高精度地震波速度構造の解明から、地殻深部構造と地表地質との関連を厳密に議論することが可能となってきた。
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© 2003 日本鉱物科学会
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