日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2003年度 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G7-21
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G7:火山及び火山岩
東北本州弧、田山地域における後期新生代のマグマ活動の変遷
*小林 羊佐吉田 武義
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キーワード: カルデラ, 全岩化学組成
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抄録
東北本州弧には、後期新生代に活動した珪長質マグマの活動に関連したカルデラが多く知られている。なかでも脊梁山脈地域には直径が10km以上の大規模カルデラが多数分布し、その多くは特定の地域にクラスターを形成している。田山周辺地域は秋田-岩手県境,脊梁山脈地域に位置し、先新第三系を基盤として中期中新世以降の酸性火山岩類が広く分布している。それらの活動時期は,既存の年代測定値より(1)12-10Ma, (2)7.5-6.0Ma,(3)4.0-2.5Maの3ステージに区分される。田山地域には,(?)12-10Maに活動した切通カルデラ,田山カルデラと,(2)7.5-6.0Maに活動した大平沢カルデラ,荒屋カルデラの4つのカルデラが分布し,これら活動時期の異なるカルデラ対が複合してクラスターを成す。とくに大平沢カルデラは内部に兄畑カルデラをもつ二重陥没カルデラである。また、(3)4.0-2.5Maに活動した苦鉄質安山岩∼玄武岩質の成層火山がカルデラ群を覆う。加えて、田山カルデラ群の北西部には花輪盆地東縁の断層にほぼ平行に、9.0-7.5Maに活動した平行岩脈群である花輪盆地東縁岩脈群が分布する。 今回、田山地域に分布する火山岩類の全岩化学分析を行い、3つのステージを通した田山地域におけるマグマの化学組成上の特徴とその変遷について検討を行った。田山地域のカルデラ形成を伴う(1)12-10Ma、(2)7.5-6.0Maの活動は、苦鉄質安山岩から流紋岩に至る幅広い組成を示すが、鮮新世の(3)4.0-2.5Maになると、著しくK2Oに乏しいソレアイトの活動である稲庭岳(安井ほか,2000)など、安山岩から玄武岩の比較的苦鉄質な活動となる。田山カルデラ群のカルデラ陥没に関係した火砕流堆積物は全アルカリ量(とくにNa2O)がSiO2の増加とともにやや急な増加を示すが、田山カルデラ群を構成する火山岩類全体及び鮮新世の火山岩は全アルカリ量に明瞭な違いは無い。しかし、カルデラ群西部の9.0-7.5Ma頃に活動した花輪盆地東縁岩脈群は、ややアルカリに富む傾向を示している。このことから、稲庭岳、田山カルデラ群、花輪盆地東縁岩脈群は、全アルカリ量がより背弧側で増加する水平変化を示していると考えられる。一方、中期中新世に活動したと見られる玄武岩がカルデラ群北西部に分布するが、これらはアルカリ岩に分類され、12Ma以降の火山岩とは異なる特徴を示している。
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© 2003 日本鉱物科学会
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