抄録
北海道足寄町シオワッカでは冷泉水からcalciteのほか、希産鉱物で多形のvaterite、更にmonohydrocalcite、冬にはikaiteが産する。Ikaiteのもう1つの地上での産出地カリフォルニア州Mono湖とは生成環境も水質も異なる。
今回、水温6℃の冷泉水からでもikaiteが生じることを室内実験を通じて確認した。実験から、
○予想より高温の冷泉水からでもikaiteは晶出する。
○Ikaiteの晶出に引き続き、必ずcalciteが晶出して来る。
○冷泉水を凍らせた後、融解した水からは、短時間でikaiteの結晶が出来る。
○calciteを水温の上昇、スターラーでの撹拌等で強制的に生じさせた後の水からも、ikaiteは生成。calciteの出現は更に遅い○冷泉水からつくった氷の融解面でもikaiteの生成を鏡下で観察。
○ビーカー表面に浮いたikaiteは室温でも分解せず、1週間でも半透明乳白色で、自形結晶を保ったまま。
○ikaite結晶が溶解消滅して、calcite結晶粒が増加成長していく様子も観察された。
これまでNatural ikaiteの成因として、零度に近い水温と水質、特にalciteの核形成阻害成分としてのリン酸イオン等の存在が論じられてきた。シオワッカ冷泉の水質からはリン酸が主な成因とは考えにくいことを述べてきた。
今回、1.Ikaiteの生成は、冷泉の凍結による各種溶存成分の濃縮に寄らなくとも起こること、2.Ikaiteの生成に引き続きcalciteが生じることが認められことから、calciteの生成を遅らせるものの存在が考えられた。
Ikaiteおよびcalcite結晶の水面での生成、溶解を始めたikaite結晶の形態を留めた非晶質透明物質の存在などから、水溶性有機物質の関与を疑い現在検討中である。