日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2004年 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G3-02
会議情報

G3:元素の移動と地質資源
三郡帯稲積山超マフィック岩体中のクロミタイトを伴うガブロの記載岩石学
*松本 一郎岡田 純岩本 考一荒井 章司
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
クロムスピネルはCr資源として唯一経済価値のある含クロム鉱物であるとともに、多くの地球化学的情報を得ることができる(例えば、Dick and Bullen, 1984; Arai, 1987, 1994; Shiraki,1997)。従来、クロムスピネルが高度に濃集した岩石、つまりクロミタイトが資源的価値のある岩石(鉱石)として注目されてきたが、その成因においてもマントル中でのCrのクロムスピネルとしての晶出、濃集等のプロセス(成因論)が地球化学的観点から議論されるようになった(例えばArai and Yurimoto, 1994; Matsumoto and Arai, 2001など)。クロミタイトは、日本においてはいわゆる造山帯に産するポディフォーム・クロミタイトとして、主に北海道中軸帯と中国地方三郡帯から多くの記載があり、過去にクロム鉱山としての実績も多い。また、ポディフォーム・クロミタイトは、そのほとんどがダナイトに伴うことが記載的な特徴であり、探査的側面および岩石学的な側面の両方から研究が進んできた(例えばArai and Yurimoto, 1994;松本ほか, 1995)。 今回、三郡帯の稲積山超マフィック岩体から、クロミタイトを伴う特異なガブロを発見、記載したので、ここに記載岩石学的な特徴と鉱物化学組成、全岩化学組成について報告し、クロミタイトがガブロと伴うに至った地球化学的な経緯について考察する。 稲積山超マフィック岩体は、中国地方中部の三郡帯に分布する超マフィック岩体群の北西部(鳥取県日南町)に位置するおよそ2×2kmの岩体である。三郡帯の多くの超マフィック岩体と同様に、本岩体は大部分をハルツバーガイトが占めダナイトを伴う。また、ダナイトの岩体全域に占める存在度は比較的高く、ダナイトの存在度の高い岩体北東部にはクロミタイトが多数認められ、同地域には日野上クロム鉱山がかっては稼働していた。 クロミタイトを伴うガブロは、岩体中央部から東側域に限られ、ガブロ内部に数cmから数十cmのクロミタイトブロックが発見観察された。このクロミタイトを伴うガブロは、角閃石をほとんど含まないかんらん石ガブロであり、岩体北部に広く分布する角閃石はんれい岩とは岩石学的な性格を異にする。また、変質・変成作用の影響を受けており、緑泥石をはじめとした様々な二次鉱物の生成も認められる。特に、トレモラ閃石、アンドラダイト、ペロブスカイト、ペントランダイト等の鉱物が同ガブロ分布域には特徴的に観察される。 鉱物の化学的特徴については、金沢大学と島根大学の波長分散型マイクロプローブを用いて行った。分析の結果、クロムスピネルについては、はんれい岩中のものがハルツバーガイト中のものに比べて高いMgおよびFe量が認められた。その他、かんらん石、輝石類、角閃石類についても、ガブロ中のものの特徴を明らかにすることができた。また、ガブロについての全岩化学分析を合わせて行った結果、クロミタイトを伴うガブロは岩体北部に分布する一般的な角閃石ガブロとは、全岩化学組成的にも異なることが示された。 以上の結果から、クロミタイトを伴うガブロについての成因は、一般的な角閃石ガブロ質のメルトとマントルかんらん岩との相互反応が重要な要素である可能性が考えられる。
著者関連情報
© 2004 日本鉱物科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top