抄録
ベトナム中部に位置するコンツム地塊は,高温変成岩類が分布する先カンブリア代の地質体と考えられ,古くからインドシナクラトンの基盤を構成すると考えられてきた.演者らは,2000年より同地質体の地質学・岩石学・年代学的な検討を進め,同地質体の多くの岩石はこれまでの考えとは異なる約2億5千万年前のアジア地域における衝突帯変成作用で形成されたことをしめした.同時に最高変成度をしめす変成岩類は大規模な剪断帯に沿って分布することをしめし,その一部は超高温変成作用を経験したことを明らかにした.本発表では,すでに報告されている超高温マフィックグラニュライト中の単斜輝石とザクロ石に着目し,超高温変成作用以前の昇温期変成作用について議論する.