抄録
北アルプス北部の黒部川花崗岩体(2Ma)は,下部岩相から中部岩相を経て上部岩相へ垂直分化している.この岩体の大部分では,暗色包有岩が濃集した産状を示すが,その多くは花崗岩に対して明瞭で細粒な急冷縁を持ち混合していない. 花崗岩の全岩希土類元素組成のコンドライト規格化パターンから,LREEは調和元素,HREEは非調和元素としてふるまう事が解った.岩石薄片顕微鏡画像のパソコンによる解析から副成分鉱物の存在割合を求めた.LREEに富むカツレン石は結晶作用途中から晶出したと考えられる. 初期メルトの組成と実効分配係数を求めて,ホストマグマの結晶分別の効果をレイリー分別に基づいて検討した.その結果,初期メルトがおよそ40%結晶化して分別すると上部花崗岩に類似するコンドライト規格化パターンが得られた.これは岩体が同一マグマの結晶分別作用によって分化したことを示唆する.