日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2004年 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G4 P-06
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G4:深成岩および変成岩
八溝山塊西部に分布する接触変成域の変成作用
*若菜 友美田切 美智雄
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抄録
 八溝山地は地形的に北から八溝・鷲子・鶏足・筑波の4つの山塊に分かれる。主に変成岩類と深成岩類からなる筑波山塊を除くと、それより北の3山塊はジュラ紀の付加コンプレックスとそれに貫入する小規模の花崗岩類からなる。八溝山塊西部には南北方向に点々と花崗岩類が貫入し、周囲の岩石は熱変成を受けていると考えられているが、その規模や変成条件についての議論は未だなされていなかった。本研究では、八溝山塊の変成作用について理解するため、栃木県黒羽町から那須町にかけて調査を行い、変成岩類の鉱物組合せに基づいて変成分帯を行った。さらに、XRFによる全岩化学分析値とSEMによる鉱物化学分析値から変成時の温度圧力条件の推定を行った。 調査地域は珪線石帯・菫青石帯・黒雲母帯に分帯される。珪線石帯に見られる特徴的な変成鉱物組合せは、珪線石+菫青石+黒雲母+カリ長石である。菫青石帯に見られる組合せは、菫青石+黒雲母+カリ長石である。黒雲母帯に見られる組合せは、黒雲母+白雲母+カリ長石である。また、菫青石帯の岩石にはざくろ石を含む組合せと紅柱石を含む組合せが見られた。特に、ざくろ石を含む組合せの2試料でざくろ石−黒雲母の共生が見られ、そのうち1試料はざくろ石−黒雲母−白雲母−斜長石の共生が確認できた。したがってFerry and Spear(1978)による地質温度計と、Ghent and Stout(1981)による地質温度圧力計を用いて変成時の温度圧力条件を推定した。推定された菫青石アイソグラッドから珪線石帯にかけての変成温度圧力条件は、P=2.4∼2.7kbar、T=400℃∼600℃である。 調査地域において最も広い範囲を占める菫青石帯の岩石には、変成度の上昇に伴う一連の菫青石結晶成長過程を観察することができる。晶出初期においては輪郭のはっきりしない円形の結晶で、徐々に(110)面双晶を発達させた六角形の斑状変晶に変化していく。さらに変成度の高い岩石中では他形の単結晶を形成する。菫青石帯低温部には菫青石ーカオリンーフェンジャイトの共生が出現する。菫青石と共生する黒雲母の粒度を測定したところ、菫青石・黒雲母いずれの鉱物も変成度の上昇とともに結晶は粗粒化するが、黒雲母の方がよりその傾向がはっきり表れる。この結果に基づき、菫青石帯内部の黒雲母の粒度を測定し、粒度の近い点を曲線で結んでこれを等粒度線とした。この曲線は花崗岩の分布や各アイソグラッドに調和的である。また、菫青石についてはMiyashiro(1957)によるひずみ率の測定を行い、変成温度や結晶成長との関係を考察した。
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© 2004 日本鉱物科学会
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