主催: 日本岩石鉱物鉱床学会
超苦鉄質岩の一種である斜方輝岩は造山帯かんらん岩中にしばしば産し,SiO2に乏しい通常のマントルかんらん岩と比べてシリカ成分に富む.このような斜方輝岩を形成する一つの可能性として,かんらん岩へのSiO2の付加が考えられる.北海道,日高変成帯南西端に位置する幌満かんらん岩体には斜方輝岩が少量存在する.本地域の斜方輝岩はかんらん岩と,斜長石・単斜輝石を主とする塩基性岩に密接に伴って産する.この関係は,Yaxley and Green (1998)の実験で見られた関係とよく似ている.これらのことから,幌満かんらん岩中の斜方輝岩が,マントル内における塩基性岩の部分融解メルトとかんらん岩との反応によって形成された可能性が考えられる.そこで,本研究では幌満かんらん岩中の斜方輝岩の産状・鉱物組織・化学組成を報告し,斜方輝岩の成因と,不均質マントル融解の可能性を議論する.