抄録
火星核は最上部で熔融し(Yorder et al., 2003)、14.2 wt%の硫黄を含んでいると見積もられている (Wänke and Dreibus, 1988)。Urakawa et al. (2004) によると火星核の圧力条件は地殻の厚さを50 kmとした場合、19.4から41.7 GPaである。以上のことにより20から42 GPaの範囲でFe-FeS系の共融温度・サブソリダス相を決定することにより、火星核の温度構造・構成相に制約を与えることができる。高圧下でのX線その場観察を行うために、SPring-8・BL04B1設置の川井型高圧発生装置SPEED-Mk.IIを用い、21.1 GPa、31.0 GPaにおいてFe-FeS系の共融温度とサブソリダス相を決定した。共融温度は21.1 GPa、31 GPaにおいて1273 Kであり、サブソリダス相は21.1 GPa、31.0 GPaともγ FeとFe3Sであった。