抄録
近年,CT撮影を行い顎骨の三次元データを用いてコンピュータで術前解析を行い,狙い通りにインプラント手術が実施できるシステムが開発されたことにより,いわゆるMI(低侵襲)の概念を導入したインプラント治療が比較的安全確実に行えるようになってきた.さらに,最近,CTの三次元データを用いて,三次元有限要素法モデルを構築し,生体力学的なシミュレーションを行うことにより,術前にインプラントの本数や配置を最適化することも可能になりつつある.そこで,本総説は,インプラント補綴治療介入におけるCTデータを用いたシミュレーションの活用に関して,三次元情報を用いた術前診断について,その現状と未来への方向性を論じたものである.なお,本総説は,2011年に広島で開かれた第120回日本補綴歯科学会学術大会において開催されたシンポジウムでの講演をまとめたものである.