2014 年 63 巻 2 号 p. 226-231
多剤耐性緑膿菌は,病院感染対策上最も重要な病原体の1つであり,確実な感染対策を行うためにも,迅速かつ効果的なスクリーニング法が求められている.今回我々は,臨床分離株のうちimipenem,ciprofloxacin,amikacinのいずれか1つ以上に耐性を示した緑膿菌31株と,同様の耐性を持つ他のグラム陰性桿菌30株を用い,クロモアガーMDRPスクリーン培地(MDRP培地)の有用性に関する基礎的検討を行った.結果は,緑膿菌では多剤耐性菌以外の株でも一部に発育が見られたものの,多剤耐性緑膿菌8株全てで青緑色のコロニー形成を認めた.一方,他の菌種は高度耐性株を含め多くの株で発育が抑制され,発育を認めた場合でもコロニーの色調から容易に緑膿菌との違いが判別できた.この結果から,最終的な判定には薬剤感受性検査の実施が不可欠であるものの,MDRP培地が多剤耐性緑膿菌のスクリーニング培地として高い有用性を持つ可能性が示唆された.