抄録
大腸癌に対する抗EGFR抗体薬はKRAS遺伝子変異のある腫瘍では薬剤効果がないことから,治療対象の選択にはKRAS遺伝子検査が重要となる.しかし,遺伝子検査は高度な操作技能などが必要なため,外注検査で対応している施設が多い.今後は迅速な治療方針決定のために院内検査での対応を求められることが予想されるため,DNA自動精製装置と遺伝子解析装置を組み合わせた自動化法でKRAS遺伝子検査の検討を行った.外注検査は結果報告まで約7日要したが,自動化法では翌日に結果を得ることが可能であった.実際の手技に用手法は約35分費やしたが自動化法は約7分であった.外注検査と自動化法の結果は全て一致したが,用手法は他法で野生型であった2例で変異型と判定された.今回の検討からKRAS遺伝子検査を院内検査として病理部門の限られた人員で行い,安定した結果を得るためには自動化が有効と思われた.