医学検査
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原著
CA19-9低値(≦1.0 U/ml )例における継続測定の意義
二村 英憲加藤 秀樹遠藤 美紀子永山 円恒川 浩二郎大屋 輝明山岸 宏江湯浅 典博
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2014 年 63 巻 3 号 p. 300-304

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抄録

Carbohydrate Antigen 19-9(CA19-9)はLewis式血液型がLe(a–, b–)の症例では低値をとることが知られている.しかしLewis式血液型検査をルーチンに行うことは本邦では保険適応されていない.これまでにCA19-9測定値からLewis式血液型を推定しようとするいくつかの研究が行われてきたが,研究者によってCA19-9測定法が異なったり,推定方法が複雑であるため一般化に制限があった.そこで当院におけるCA19-9低値例106例とLewis式血液型の関係を検討した.また,消化器系癌と診断され死亡するまでの経過中にCA19-9が複数回測定された593例のCA19-9の変化を解析した.CA19-9≦1.0 U/mlの症例116例中115例(99%)はLewis式血液型がLe(a–, b–)であった.消化器系癌と診断され死亡した患者593例中,経過中にCA19-9最低値≦1.0 U/mlを示した症例は55例で,そのうち53例(96%)ではCA19-9最高値は基準値(37 U/ml以下)を上回らなかった.CA19-9≦1.0 U/mlを示す症例はLe(a–, b–)であることが多く,CA19-9を継続して測定する意義は乏しい.

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© 2014 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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