抄録
目的:退色細胞診標本における有効な再染色方法を考案し検討した.対象と方法:対象は陽性例を中心に,婦人科,呼吸器,尿,体腔液の染色退色標本,ギムザ染色の退色標本とした.パパニコロウ退色標本を,キシレンでカバーガラス除去後,リン酸緩衝液,クエン酸ナトリウム緩衝液を使用し,封入剤除去時間,緩衝液浸透時間,pH,再現性等について検討した.ギムザ染色の退色標本は,リン酸緩衝液pH 6.8に浸透後,メイ・ギムザ染色を行った.成績:パパニコロウ退色標本では,リン酸緩衝液はpH 7.0前後,浸透時間3時間以上が良好で,クエン酸ナトリウム緩衝液でも染色性の改善は多少みられるが,リン酸緩衝液が最も有効であった.ギムザ退色標本では,改善は見られるものの,赤血球が青く過染され,良好な結果がみられなかった.結論:退色した過去の貴重な標本を再染色する上で,我々の考案したリン酸緩衝液を使用した方法は有用と考えられた.今後ギムザ退色標本の再染色における改善等も含め問題点の研究を進めていきたい.