医学検査
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技術論文
消化器および体腔液細胞診における簡易セルブロック作製法併用の有用性
信広 亮輔柴田 淳小林 剛脇本 真帆佐々木 なおみ
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2015 年 64 巻 2 号 p. 196-201

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抄録
細胞診標本作製後の検体を用い,安価で簡便なセルブロック作製法を併用し,診断精度向上を目的とした。綿棒チューブを用いた簡易セルブロック作製法にて膵液・胆汁39症例,EUS-FNAによる膵穿刺10症例,体腔液25症例,計74症例を検討した。免疫組織化学(以下,免疫染色)は15症例に施行した。細胞診標本では74症例中,陽性例は23症例(31%)であり,疑陽性例は12症例(16%)であった。セルブロック標本を併用すると陽性例は74症例中30症例(41%)であり,疑陽性例は5症例(6%)であった。細胞診標本では細胞の重積が強く,良悪性の判定が困難な症例もセルブロック標本を作製することで,個々の細胞形態や核配列を観察することができた。セルブロック標本と細胞診標本とを併用することで細胞診断における疑陽性判定を減少させることができた。本法は他法に比べ,安価かつ簡便であり,ルーチンへの導入も容易であった。また,免疫染色を併用することで良悪性の鑑別のみならず,組織型決定も可能となった。
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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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