抄録
敗血症マーカーであるプレセプシンは腎より排泄されるため,慢性腎不全患者や血液透析患者では高値となることが予想される。本研究では感染リスクが高い慢性腎臓病や血液透析患者に関するプレセプシン値の動態を分析した。血液透析患者は健常者と比較し,プレセプシンは有意に高値を示し,98名中96名が敗血症を起こしていないにも関わらずカットオフ値を超えていた。また,透析歴がなく腎機能が低下した患者においても,推算糸球体濾過率(eGFR)が低いほどプレセプシンは高値となり,強い負の相関を示した。そして,血液透析患者は血液透析を行うことでプレセプシン値が37.7 ± 13.1%低下した。これらのことからプレセプシン値は腎機能の重症度と透析の影響を大きく受けることが示唆された。今後も検討を重ね,感染症鑑別の一助としていきたい。