医学検査
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原著
ヒトおよび鶏から分離されたCampylobacter jejuniにおけるギラン・バレー症候群関連遺伝子の保有状況調査
北尾 孝司前田 美奈石丸 美架
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2015 年 64 巻 2 号 p. 173-178

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抄録
腸管感染症の患者から分離されたC. jejuniおよびカンピロバクター腸炎の原因食品の1つである鶏レバーから分離されたC. jejuniについて,GBSに関連するcst-IIcgtAおよびcstB遺伝子の保有状況について調査を行った。30検体のうち28検体の鶏レバーから検出されたC. jejuniについて調査を行った。そのうちGBSに関連するcst-IIcgtAcgtBの3つの遺伝子を保有するC. jejuniが検出された鶏レバーは,17検体(60.7%)であった。28検体の鶏レバーから検出された246菌株のC. jejuniを用いて,GBSに関連する3つの遺伝子を同時に保有していたのは107菌株(43.5%)であった。腸管感染症の患者糞便から検出された30菌株のC. jejuniについては,8菌株(26.7%)がGBSに関連する3つの遺伝子を保有していた。さらに,GBSに関連する3つの遺伝子をすべて保有する菌株について血清型別検査を実施すると,鶏レバー由来のC. jejuniからは,B群が最も多く10菌株,D群が8菌株,O群が4菌株,残りの菌株はuntypeableであった。また,胃腸炎患者由来のC. jejuniについては,D群およびO群がそれぞれ3菌株,残りの菌株はuntypeableであった。このことから,血清型別検査によって,GBSに関連するC. jejuniの同定には有用ではなく,GBSに関連する遺伝子cst-IIcgtAcgtBの検出を実施する方法がより有用であることか分かった。
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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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