医学検査
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技術論文
イムノクロマト法による尿中レジオネラ抗原検出試薬における有用性の検討―新たに開発された試薬と既存の3試薬の性能比較―
山口 育男木下 育哉齊藤 知枝山本 優山本 恵子繁原 矢枝子伊藤 由美
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2015 年 64 巻 2 号 p. 221-226

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抄録
Legionella属菌の培養には特殊な培地で数日を要することから,レジオネラ症の診断には,イムノクロマト法を原理とする迅速診断試薬が広く利用されている。本検討では,新規イムノクロマト試薬であるイムノキャッチ®-レジオネラのレジオネラ抗原検出における有用性を検討した。希釈試験では,対照試薬であるBinaxNOW®レジオネラ及びチェックレジオネラよりも高い検出感度であり,Qライン極東レジオネラと同等であった。また,Qライン極東レジオネラと並び,最もテストラインの出現時間が早かった。肺炎症状を呈する100症例の尿検体でのイムノキャッチ®-レジオネラとBinaxNOW®レジオネラの陽性一致率,陰性一致率,全体一致率はそれぞれ100%(1/1),99.0%(98/99),99.0%(99/100)であった。判定結果が一致しない1症例は,BinaxNOW®レジオネラにおいて陰性であったが,検体を濃縮して測定した場合は陽性となったことから,BinaxNOW®レジオネラの感度不足による偽陰性であることが示唆された。イムノキャッチ®-レジオネラは希釈液を使用せず,対照試薬に比べ操作法が簡便である。さらに,対照試薬と同等以上の検出感度を有し,臨床検体の測定においても良好な成績が得られたことから,Legionella pneumophila血清型1を起因菌とするレジオネラ症の迅速診断法として臨床的に有用である。
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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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