医学検査
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3施設の髄膜炎症例の検出菌比較と年次推移
古野 貴未村山 未来下地 法明秋永 理恵桑岡 勲赤津 義文大塚 喜人
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2015 年 64 巻 2 号 p. 227-235

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抄録

2008年度から2012年度の5年間に病床数の異なる福岡,長野,沖縄に立地した3施設において,髄液検査を施行し,髄膜炎,髄膜炎疑いと診断された症例数,髄液所見や髄液培養結果,検出菌の割合と検出菌年次推移を調査した。3施設合計の検出菌上位は,S. pneumoniaeH. influenzaeE. coli,MSSAの順であり,細菌性髄膜炎で髄液培養陰性の割合は41.1%と高く,無菌性髄膜炎の病原体判明率は3.6%と低いことが明らかになった。培養陽性群と培養陰性群での有意差検定では,髄液糖と血糖の比では有意差を認めた(p = 0.021)。起炎菌が検出されない髄膜炎症例でも,遺伝子検査等で微生物が明らかになれば,薬剤が確実に投与でき,適切な治療に結びつくと思われる。今後,遺伝子検査の必要性も示唆された。

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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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