医学検査
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原著
可溶性フィブリンの深部静脈血栓症診断および治療効果判定における有用性
勝部 瑞穂三島 清司兒玉 るみ足立 絵里加新田 江里山口 一人野津 泰子長井 篤
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2015 年 64 巻 4 号 p. 398-404

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抄録
可溶性フィブリン(SF)は凝固亢進状態を反映し,血栓症および血栓準備状態を推測する凝固系分子マーカーとして注目されている。我々はSFの深部静脈血栓症(DVT)の診断および治療効果判定における有用性について検討を行った。下肢静脈エコー実施前後1日以内に採取されたクエン酸血漿の残余検体53検体を対象にSFとD-dimerを測定,これらとエコー所見の関連性について検討した。その結果,D-dimerはDVTの陰性的中率が100%であり,除外診断に有用であった。一方,SFは新鮮血栓に対する陽性的中率が90%以上でありDVTの急性期を鋭敏に捉えていると考えられた。症例検討では血栓発見から再発,器質化までのSFとD-dimer値の推移を観察し,過凝固状態が改善されるとSFが速やかに低下することが確認され,治療効果判定におけるSFの臨床的有用性が示唆された。
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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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