医学検査
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原著
タンデム型質量分析計を用いた新生児マススクリーニングの現状について(埼玉県における2年3か月間の実施報告)
三井 規雅熊谷 望美鈴木 ななみ岡田 智香子油座 博文
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2015 年 64 巻 4 号 p. 405-412

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抄録

埼玉県では2012年10月より母子保健事業の一環としてタンデム型質量分析計による新生児マススクリーニングを開始した。2014年12月までの2年3か月間で埼玉県内にて出生した新生児105,905人の検査を実施した。その結果,精密検査となった32例のうち専門医療機関を受診し最終的に患児と診断されたのは14例(アミノ酸代謝異常症6例,有機酸代謝異常症2例,脂肪酸代謝異常症6例)であり,患児発見率は1/7,564人であった。このスクリーニングの導入により一度の分析で20種類以上の先天代謝異常症を網羅的に発見することが可能となった。新生児マススクリーニングは単に検査機関が検査結果を産科医療機関に報告して終わるものではない。患児とその家族のフォローアップを重視したシステムの構築が必要であり,検査機関,産科医療機関,コンサルタント医師,治療医療機関,自治体母子保健課等が相互に綿密な連携を取ることが重要である。

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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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