医学検査
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技術論文
全自動臨床検査システムSTACIAを用いたAPTTクロスミキシングテスト法の考案
徳永 尚樹西岡 麻衣井上 雄介吉田 裕子井上 千尋高松 典通中尾 隆之土井 俊夫
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2015 年 64 巻 5 号 p. 583-590

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抄録

APTTクロスミキシングテスト(ミキシングテスト)は凝固因子欠乏や凝固因子インヒビター,またはループスアンチコアグラントなどのインヒビターを鑑別するスクリーニングとして有用な検査である。しかし検体を手作業で調整する必要があり,手技が煩雑であることなどから実施している施設が少ないのが現状である。今回我々は汎用機である全自動臨床検査システムSTACIA(LSIメディエンス社)を用いて,簡便に実施可能なミキシングテスト法(STACIA法)を考案し,当院の現法であるACL-TOP500(IL社)を用いた半自動ミキシングテスト法(TOP法)と比較してその有用性を検討した。TOP法は加温用希釈検体を手作業により作製するのに対し,STACIA法は機器による自動調整のため,分注操作が必要なく簡便であった。また,STACIA法の評価として上に凸,下に凸と視覚的に判定する方法(波形パターン法),ICAおよびCMT indexにおけるインヒビターを検出する感度を求めたところ,波形パターン法が75.0%,ICAが79.2%,CMT indexが91.7%とCMT indexが最も良好であった。STACIA法はTOP法の約半量で即時型と加温後の両方が測定可能であり,自動で濃度系列を作製するため,検体調整の手間や手技的な調製ミスが解消され,省力化と正確性が向上した。さらに数値判定法を用いることで感度の高い客観性のあるデータが得られ,STACIAを用いたミキシングテストはルーチン検査の一環として実施することが十分可能であると示唆された。

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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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