医学検査
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当院における一年間の健診腹部超音波検査の現状について
白石 和仁大西 弥生近藤 吉将中田 浪枝山口 直美渡邊 亮司武田 伸也赤尾 智広
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2016 年 65 巻 1 号 p. 103-109

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抄録

健康診断の評価項目として,腹部超音波検査(以下,USとする)を実施している施設は多くあるが,その結果についての詳細な報告は少ない。当院でも健診項目の一つとしてUSを実施しているが,一定期間での結果集計はなされていなかった。今回,当院での現状を把握する目的で,各疾患の割合及び傾向について集計を行った結果,何らかの異常あるいは正常変異を伴った有所見率は高頻度(86.7%)であり,臓器別では,肝,腎,胆で全体の約8割を占めていた。性別では,男性に脂肪肝,胆嚢ポリープ及び腎嚢胞が高頻度に認められ,特に脂肪肝の割合は,ほぼ受診者の2人に1人と非常に多く認められた。女性では胆嚢結石が60歳以上の高齢者に有意に多く認められた。又,男女共に,加齢に伴い嚢胞性病変(肝嚢胞,腎嚢胞)が増加した。頻度は少ないものの期間中2名(0.11%)の悪性疾患も認められた。今回の結果から,検査対象のほとんどが臨床症状を認めない受診者ではあったが,有所見率は高頻度であり,生活習慣に起因すると思われる結果も多く,保健指導の活用にもUSの結果は有用であると思われた。非浸襲的検査であるUSは,今後も益々,健診(検診)の場で広く活用されるものと思われる。

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© 2016 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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