医学検査
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技術論文
急速凍結保存液を用いた簡便な染色法の検討―Naphthol ASD Chloroacetate Esterase染色・鍍銀染色・Acetylcholine Esterase染色への応用―
鈴木 孝夫小島 朋子磯崎 勝楯 玄秀
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2016 年 65 巻 2 号 p. 204-208

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抄録
特殊染色の中には反応液を用時調製しなければならないものがあり,その代表的なものはアゾ色素法によるナフトールASDクロロエステラーゼ染色である。それはナフトールASDクロロエステラーゼ染色の反応液が,調製後早々に不活性化されるからである。そこで我々は,用時調製した反応液を長期保存し,ナフトールASDクロロエステラーゼ染色を簡便で安定な染色とすべく,以下のような検討を行った。調製したての反応液を速やかに1.5 mLのマイクロチューブに1 mLずつ分注し,超低温冷凍装置を使用して急速凍結し,ディープフリーザー(−75℃)に保存した(急速凍結保存液)。3か月および1年間経過後,急速凍結保存液を急速解凍し,載せガラス法にて骨髄標本を染色し,用時調製の反応液を用いる従来法と染色性を比較した。その結果,急速凍結保存した反応液は,1年経過したものでも従来法と比べ遜色なく良好な染色性を示した。しかし,調製後暫くたってから急速凍結した反応液および緩やかに凍結した反応液は,染色性がかなり落ちていた。なお,濾過した反応液よりも濾過しない反応液の方が染色性は強かった。用時調製が必要であったナフトールASDクロロエステラーゼ染色は,急速凍結保存液を用いることにより,簡便で安定な染色に改良できた。この方法は,用時調製が必要である鍍銀染色やアセチルコリンエステラーゼ染色にも応用可能であった。
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© 2016 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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