医学検査
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総説
造血器腫瘍―近年の急性白血病の現状―
坂場 幸治
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2016 年 65 巻 2 号 p. 125-140

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抄録
急性白血病は白血球などの自律性増殖を特徴とする造血器の腫瘍性疾患で,多能性幹細胞からの成熟・分化が特定の段階で停止し前駆細胞レベルでがん化した病態と考えられている。白血病発症には複雑な遺伝子が関与するが,近年多くの研究により,特徴的な染色体転座あるいは遺伝子変異が急性白血病発症の病因として判明してきた。2001年に発表されたWHO分類第3版は血液学的悪性腫瘍の新しい分類基準として世界中に広く普及した。その後,細胞遺伝学的研究などの更なる進歩により,血液学的悪性腫瘍の病態解明に新たな知見が加えられ,2008年にWHO分類第4版として発表された。このうち急性白血病については急性骨髄性白血病および関連前駆細胞腫瘍(acute myeloid leukemia and related precursor neoplasms),分化系統不明瞭な急性白血病(acute leukemias of ambiguous lineage),前駆型リンパ球系腫瘍(precursor lymphoid neoplasms)に大別されている。本稿では造血器腫瘍のうち主として急性白血病についてWHO分類第4版を中心に,それらの形態学的所見,免疫表現型,細胞遺伝学所見,臨床所見について記載する。
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© 2016 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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