抄録
目的:カラーパラフィンを使用した病理組織検体着色を考案し基礎的検討を行ったので報告する。対象と方法:パラフィンに着色するため,透明ジェル用液体色素,クレヨン等を使用し,腎臓,肝臓,胃,結腸,針生検,内視鏡生検材料,乳腺・脂肪・子宮筋腫の大型組織における肉眼所見,薄切面の確認等の有用性について検討した。成績:クレヨン等は,攪拌しないと溶解せず時間がたつと分離するため問題があった。透明ジェル用液体色素は薄切面の確認については問題ないが,包埋では肉眼所見の認識がやや困難な色調が認められた。結論:現在,消化器内視鏡生検材料,各種針生検等の微小検体が多く扱われ,中には組織がほぼ無色で肉眼では全面を適切に薄切することが非常に困難である場合がある。これまでも着色についていろいろ考案されてきたが,標準化された事例は無いのが事実である。現在は自動薄切装置が開発され,微小検体の確認,薄切のためにはパラフィンにカラー色素,放射性物質,蛍光色素等が扱われる可能性があり,今後の自動化に期待したい有用な方法であると考える。