2016 年 65 巻 4 号 p. 424-430
whole PTH測定系は,生物活性を有する1-84PTHのみを特異的に測定し,腎機能の影響を受けないため副甲状腺機能を正確に反映するとされている。今回,CLEIAを用いたwhole PTHの測定性能評価と変動要因の解析を行った。測定性能評価では,併行精度と室内精度はともに良好な結果を示した。血清とEDTA-2Na血漿の相関は良好であったが,検体の保存安定性は,血漿の方が安定していた。高濃度のリウマトイド因子で測定値の低下傾向が確認された。whole PTHはintact PTHの約6割を示し,intact PTHとの相関関係は良好であった。個人差はあるものの運動後に値の上昇が確認された。採血時の体位では,臥位と比較して立位の方が高値傾向であった。25℃で4時間以上放置された全血より得た検体では測定値の低下が確認された。サンプルカップへの移し替え回数が増すごとに測定値の低下が確認された。当院では血清を用いた迅速測定を行うことで,他項目との同時測定による効率化や採血量の減量化を図った。whole PTHの迅速測定は,副甲状腺機能を正確に反映するものであり,今回の検討結果から見出された変動要因の影響を最小化することにより,有用性はより高まるものと思われる。