2017 年 66 巻 2 号 p. 133-140
副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone; PTH)測定には完全長のPTH(1–84)のみを測定するwhole PTHがあるが,近年CLEIA法を原理としたルミパルスプレストwhole PTH「DSPB」とECLIA法を原理としたエクルーシス試薬whole-PTHが発売されたため,それぞれの基礎的検討および両試薬の比較検討を行った。併行精度,室内精度においては両試薬とも良好であったが,希釈直線性においてエクルーシスでの低濃度域で若干の高値化が認められた。干渉物質においてはいずれも最終濃度まで影響が認められなかった。検体安定性においては両試薬ともに血漿と比べ血清で不安定であり,室温保存が最も不安定であった。相関においてはIRMA法と両試薬の比較でIRMA法が低値となった。ルミパルスとエクルーシスの比較では濃度帯域により傾向の変化が見られた。両試薬における血清とEDTA-2Na血漿の比較では良好な相関性が得られた。保存容器としてMPC処理を施した容器を用いた場合と比較して未処理の容器で低値になることが確認された。MPC処理容器は吸着反応が抑制されるため,この現象はPTHが保存容器に吸着したことが原因であると考えられた。本研究から比較的安定性が高く従来法であるIRMA法との反応性が近いルミパルスプレストwhole PTH「DSPB」が有用であると考えられた。