2017 年 66 巻 6 号 p. 670-675
超音波穿刺吸引細胞診(以下EUS-FNA)は,多くの施設で細胞検査士が,内視鏡室で標本作成,迅速染色して,細胞診専門医が,細胞判定する。いわゆる出張細胞診が実施されている。出張細胞診は,利点は多いが病理検査室の負担増にもなっている。本研究では,細胞診専門医の負担軽減するために携帯端末を利用した施設内テレサイトロジーの有用性を検討した。オンサイトで細胞検査士が異型細胞を検索してスマートフォンを接眼レンズにあてて,異型細胞を撮影する。その画像を,細胞診専門医に転送して画像診断する。膵管癌,退形成性膵癌,充実性偽乳頭状腫瘍(以下SPT)の症例は,画像による細胞診断が可能であった。携帯端末を用いた簡易型テレサイトロジーシステムは,EUS-FNAにおけるオンサイトの細胞診断に有用であると考えられる。